「地図でスッと頭に入るアフリカ 55の国と地域」昭文社出版編集部編、白戸圭一監修
「地図でスッと頭に入るアフリカ 55の国と地域」昭文社出版編集部編、白戸圭一監修
先日、友人と「アフリカの国名を交互に挙げていく遊び」をして大いに盛り上がった。余裕綽々で「エジプト」カードを切る。相手が「スーダン」を投げてくれば「南スーダン」で返球する。「マダガスカル」が出てニヤリと笑う。でもその辺が限界で、あとは「南アの領土内に別の国あったよね?」「中公新書にさ、銀行を任された人のおもしろい本があったよね。あれどこだっけ?」と断片情報だけが去来して国名が全然思い出せないのだった。ちなみに前者はレソト、後者の中公新書は「ルワンダ中央銀行総裁日記」が正解である。
中途半端な知識しかないのにアフリカが気になるわたしは、本書を見つけたとき思わず踊った。これぞ求めていた本だ! アフリカ55の国と地域が網羅され、基本的には1国1見開きの構成。その1見開きに表、写真、イラストを駆使して各国の情報がギュッと詰まっている。楽器、動物、料理、ミュージシャン、スポーツ選手、作家、歴史上の人物……。その幅の広さに感激するとともに、あまりにも知らないことだらけでなんだか顔がにやけてしまう。
ちなみにこの本、帯のコピーがすごい。「世界が取り合う『投資先』アフリカの真実!」「援助から投資へ!」ってなんだか妙にギラついているのだ。列強の植民地になり、大国の食い物にされてきたアフリカの過去を思うと、ちょっとモヤモヤする。でもその投資家目線(?)の産業情報が載っているのも本書の大きな特徴だろう。野生動物や伝統工芸だけじゃないのだ、アフリカは。自分の中に巣くうステレオタイプなアフリカ像を蹴飛ばしてくれる一冊。
(昭文社 1980円)