「共感バカ」池田清彦著
「共感バカ」池田清彦著
他者の感情や考えを理解し、相手の立場になって心を寄せる。この「共感」能力は、共同体を生きていくためには必須のスキルである。
しかし、SNSの普及によってこの共感の取り扱いが極端に下手な人が急増していると著者は指摘する。
SNSは他者とのつながりの範囲を爆発的に拡大させるが、他者とつながる線はそれに反比例して細く弱くなった。一方でSNSの空間では局所的に共感が過剰になりやすい傾向がある。この共感の過剰は、やがて自分と意見が違う相手を排除しようという「欲望」を生み出す。
社会の諸相を斬りながら、進化の原動力となる一方で、さまざまな災厄をもたらす共感の副作用と、そこからの脱却について説いた社会批評。 (祥伝社 1012円)