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碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

父の死に感情移入の隙なし 「とと姉ちゃん」が惜しいワケ

公開日: 更新日:

 先週からNHK朝ドラ「とと姉ちゃん」が始まった。とはいえ、「あさが来た」の波瑠(24)からバトンタッチした高畑充希(24)の登場は、今週からだ。第1週はヒロインの幼少時代を扱う、いわばイントロ編だった。

 最初からやけに“しっかり者”の小学生である主人公・常子より、家でも丁寧語を使う生真面目な父・竹蔵(西島秀俊)のほうが話題になった。それはそれで結構だが、正直言って、描かれるエピソードが陳腐でありきたりなことに落胆した。

 たとえば、父が取引先から預かった巨匠の絵画。幼い妹が汚して大騒ぎになるが、結局は贋作だとわかる。また、結核を患い、死期が迫った父を励まそうと、常子が散ってしまった桜の花を布で再現してみせる。「これって泣けるでしょ」といわんばかりの話で、見る側はその“いかにも”な展開に苦笑いするばかりだ。

 しかも、せっかく好演している西島を、わずか1週間で消してしまった。家族を残して逝く父親や小学生のヒロインに、視聴者が感情移入するヒマさえ与えなかったのだ。実にモッタイナイ。

 そして主演女優・高畑充希の出番となる。「問題のあるレストラン」や「東京センチメンタル」など、クセのある脇役ならピカイチの個性派だが、朝ドラが求める「明るく元気で前向き」なヒロインが似合うのかどうか。これも脚本次第だ。

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