父鶴瓶にダメ出しされ 駿河太郎を変えた鈴木おさむの演出
僕にとっては、憧れのおさむさんの舞台に出られたってことで、「台本通りにちゃんとやらなきゃ」という思いばかりが先行して、芝居を楽しむとか、相手のセリフをちゃんと受け止めてセリフを返すといったことができていなかった。
それを親父は見抜いたから、ダメ出ししたわけです。おさむさんもうすうす感じてたと思う。おさむさんの演出って、“何もしない演出”で、とくにあーしろ、こーしろとは言わない。ということは、役者の力量がすごく問われるのに、僕は台本のままやってた上にカッコつけた芝居をしてたから、それまでは自分でもシックリこなかった。
それをおさむさんは分かった上で野放しにしていたと思います。3日目に山崎さんにアドリブを指示したことで、芝居とは何かを体で感じさせてもらった。その日を境に芝居が変わったんです。
■映画「夢二」で映画賞を獲得
その後、おさむさんの脚本作品には、翌14年5月の舞台「コンプレックス★ステッカー」に出てますが、ご覧になった宮野ケイジ監督が、間もなく公開の映画「夢二~愛のとばしり」の主役に抜擢してくださった。