躁鬱状態の林家きく姫を救った林家木久扇師匠のひと言
見習から数えてちょうど芸歴30年。女性落語家、タレントとして活躍中の林家きく姫さん(47)が今あるのは、やはり師匠の林家木久扇さん(79)がいたから。
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初めて木久扇(当時は木久蔵)師匠のご自宅兼事務所へお邪魔した時のことは今でも忘れませんね。玄関のチャイムを鳴らして「こんにちは」って言いましたら、内側から「いませんよ~、いませんよ~」って返事があったんです。
この声は間違いなく師匠。その時点で大感激です。「弟子にしていただきたいんです」。するとドアが開き、立ってたのが師匠でした。第一声は「あなたが?……」。すごくけげんな顔をされてました。当然です。だって当時、私は16歳。ホンの数日前までは音楽高校の女子高生でしたから。
私はもともと病弱で、人前で話すのがすごく苦手でした。それを克服させようと母が児童劇団に入れたくらいです。そしてミュージシャンを目指して高校に進学したのですが、3、4歳から音楽一筋の同級生ばかり。私のレベルでは太刀打ちできません。