「志らく兄さんは落研の同級生。本名で呼び合ってました」

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 小原君は学生落語選手権に出場し、「純情日記 横浜篇」という自作の新作を演じて優勝した。テレビで放送されたその大会を私は見ており、「面白い新作をやるアマチュアがいるもんだ」といたく感心した覚えがある。ところが、彼は落語家にならず就職の道を選んだ。

「落語家というのは特別な存在で、自分ごときがなれるもんじゃないと当時は思ってました。性格的にも地味な人なんで、しゃべってお金を稼いで家族を養うなんて考えられなかった。月々決まった給料をもらえる堅い職業のほうがいいと、銀座の福家書店に就職したんです」

 書店の仕事は楽しかった。落語家になってからも、電話で取次店に書籍の注文をする様子を再現して笑わせている。

「好きな仕事でしたけど、やっぱり落語家になりたかったんですね。福家書店はやめましたが、円満退社でした。当時の上司は今でも僕の落語会に来てくれます」

=つづく

(聞き手・吉川潮)

▽やなぎや・きょうたろう 1963年、東京生まれ。89年、柳家さん喬に入門。前座名は「さん坊」。93年、二つ目に昇進し「喬太郎」と改名。2000年、真打ち昇進。14年、落語協会理事に就任。

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