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井上トシユキITジャーナリスト

1964年、京都市生まれ。同志社大学文学部卒業後、会社員を経て、98年からジャーナリスト、ライター。IT、ネット、投資、科学技術、芸能など幅広い分野で各種メディアへの寄稿、出演多数。

恣意的な炎上商法を政治の場でやられたら権力者の思うツボ

公開日: 更新日:

 わざわざ炎上して、予定されていた落としどころへと誘導し、歩み寄ったように見せかけて都合良く事を運ぶ。つまるところ、こうしたマーケティング手法が当たり前になってきただけなのではないか。となれば、受け手の消費者サイド、ユーザーサイドでも、気に入らないからと何でもかんでも炎上させればいいというものではなくなってくる。

 上から目線でマウンティングし、非常識な、偉そうな有名人を懲らしめてやったと悦に入っていたら、実は炎上商法のトラップに引っかかり、無自覚なまま相手を利していた、ということが起こり得るわけだ。「このぐらいの発言だと、この程度の炎上か」と推し量られてしまえば、重大な仕掛けの前にガス抜きされてしまったり、事前事後の落差によって印象操作されてしまうこともあるだろう。

 炎上を恣意的に操るマーケティングを政治にやられてしまったら、それこそ権力者の都合の良いように、いつの間にか誘導されてしまうことになる。ネトウヨ(ネット右翼)、パヨク(ネット左翼)が俎上に載せられることも多いが、そのなかの相当数はヘイトや暴言などの炎上案件である。やみくもな、脊髄反射的な炎上をやりすぎれば、当人たちの思いとは別に、政治や権力者にうまく利用されてしまうこともあると、そろそろ自覚した方がいい。

 価値を生むわけでもない、日々の憂さ晴らしのためだけの炎上は、そろそろ卒業すべきだろう。

【連載】2018年上半期ネット炎上事件簿

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