松坂桃李が非情な殺人マシンの複雑な内面を浮き彫りにした
シーエイティプロデュース「マクガワン・トリロジー」
人気俳優・松坂桃李がIRA(アイルランド共和国軍)の“殺人マシン”ヴィクター・マクガワンを演じる3部作(トリロジー)。作者はアイルランドの作家、シェーマス・スキャンロン。演出は小川絵梨子。
北アイルランドの宗教紛争は1998年のベルファスト合意により現在では一応、収束した形になっているが、物語は84年から86年にかけて、もっとも紛争が激しかった時代が背景だ。
ヴィクターはIRAの内務保安部長。二重スパイを摘発する役目を負っているが、そのやり方の過激さから殺人マシンと呼ばれている。
1部の舞台は、84年、北アイルランドの町、ベルファストにあるIRAのアジトを兼ねたバー。スパイの嫌疑がかけられているアハーン(小柳心)にヴィクターが探りを入れる。
ジョークを言ったかと思えば、相手を愚弄し、わめき、威嚇し、エスカレートしていくヴィクター。
その狂気はバーテン(浜中文一)や組織に忠実な司令官ペンダー(谷田歩)も巻き込んでいく。