母・光子さんの陰で…フィルムに焼き付いた宮沢りえの“闇”
西麻布のイタリアン「キャンティ」でビートたけしと深夜デートしているとの情報が入り、駆けつけると、ちょうど店を出てくるところだった。
「うるせえ、バカヤロー」
直撃するとたけしは怒鳴り、りえを守るようにタクシーに乗せていた。
この頃、光子さんは春になると千鳥ケ淵のフェアモントホテルで観桜会を開いていた。芸能関係者でごった返していた。深夜まで河岸を変え、飲み歩いていく。取材用のバンで、追いかけた。六本木通りから乃木坂、青山墓地へと続く、なだらかな下りの坂道の途中にあるバーへと入っていく一団を見て、道路の反対側に車を止めて、レンズを向けた。長嶋茂雄ら巨人関係者の行きつけの中華料理店がすぐ近くにあったが、まだ六本木ヒルズなどない時代だ。辺りは暗く、深夜タクシーのヘッドライトが交錯していく。
バンにはこのときカメラマンふたりが乗っていて、りえの出てくる一瞬を待ち構えた。取材用の車はウインドーをスモークにして、カメラマンはその中からシャッターを切る。ターゲットの芸能人に気づかれたり、不審だと車内をのぞきこまれたり、車体を揺すられたりするからだ。