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青山佳裕

1954年、東京生まれ。美空ひばりの時代から取材歴40年。現在も週刊誌などで活躍するベテラン直撃記者。

母・光子さんの陰で…フィルムに焼き付いた宮沢りえの“闇”

公開日: 更新日:

 110番される恐れもあり、住宅街ではエンジンも止める。当然ながらそうするとエアコンも使えない。真冬の深夜、車の中で大の男がぶるぶる震えているなんて、誰が想像するだろうか。そしてこのときも、花冷えがしていた。そんななか、ひとりのカメラマンはウインドーを下げて、長玉レンズを車外に出した。

 現場が動く。ドアが開いて、関係者が出てきた。りえ母娘を見送ろうと待っている。光子さんの大きな体の向こうで、お人形さんのようなりえが浮き立つ。そこだけ光っているような存在感だ。夜でも帽子やサングラスをする芸能人が少なくない中、りえはどちらもしていない。

 シャッターの連写音。高感度フィルムに、りえの表情を鮮明に焼き付けたのが、ウインドーの外で撮影したカメラマンだ。現像した写真のりえは、とてもうつろであった。大学のキャンパスでサークルや恋を謳歌している若者たちと同年代とはとても思えない。お人形にされ、純な心を壊されそうになっているようだ。尾崎豊が変死体となって発見されたニュースとどこかでかぶった。そしてすぐに深夜の闇の中に消えていった。芸能界のまばゆいスポットライトの裏にはそんな闇がセットのようにあった。

(聞き手=長昭彦/日刊ゲンダイ)

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