テレ東「きのう何食べた?」こういう生き方もありと思える
昨年の4月クールで話題になった「おっさんずラブ」(テレビ朝日系)。また春が巡ってきて、新たな“男同士”の物語が登場した。西島秀俊&内野聖陽という刑事ドラマも出来ちゃう組み合わせによる「きのう何食べた?」(テレビ東京系)だ。
しかし、このドラマは「おっさんずラブ」のようなコメディーではない。逆に重くて暗い話でもない。描かれるのは心優しき男たちの穏やかな日常。その象徴が食卓だ。
弁護士の筧史朗(西島)と美容師の矢吹賢二(内野)はマンションの2LDKで同居生活を送っている。月の食費は2万5000円。料理はもっぱら史朗の担当だ。事務所を定時に出るとスーパーに立ち寄り、品質と値段を吟味して材料を購入する。しかもサケとごぼうの炊き込みご飯も、ツナとトマトのぶっかけそうめんも実においしそう。堂々の食ドラマでもあるのだ。
食卓で向き合う2人だが、賢二はゲイであることをオープンにしたがるし、史朗は隠すつもりはないが積極的に公開したいとは思っていない。
また恬淡とした史朗に対して、賢二は彼の元カノに嫉妬したり、時には尾行までやってしまう。当然2人は衝突するが、そこは大人。史朗の料理も大いに寄与しながら、うまく折り合いをつけていく。
見ている側も微苦笑とともに、「こういう生き方もありだよね」と思えてくるところが、このドラマ最大の値打ちだ。