秋元順子さん58歳デビューから「愛のままで…」ヒットまで
当時、上野にどんなジャンルでも歌ってくださいという、ありがたいお店があり、ジャズ、ラテン、シャンソン、カンツォーネ、民謡などをジャズアレンジして歌わせていただきました。
ある日、デビュー曲の「マディソン郡の恋」を作曲された星桂三先生と友人が、そのジャズクラブヘ。終演後、この曲を聴かされ、「歌を吹き込んで送ってほしい」と言われました。なんとも摩訶不思議な曲と思いながら、吹き込み、お送りしました。すると「いつ来られますか」と。日にちを決めてうかがうと、お店は先生のお弟子さんとお客さんで満員。歌い終わると「CDはないのですか」という声が多く、すぐに共同自主制作(インディーズ)で作ることになりました。
■58歳デビューにつながったインディーズ版「マディソン郡の恋」
6000枚がアッという間になくなる直前にキングレコードからデビューが決まりました。58歳でした。迷いはありませんでした。多くの出会いに感謝です。
インディーズ版(マキシサイズ)の「マディソン郡の恋」のアレンジをしてくださったのが後の「愛のままで…」作曲の花岡優平先生です。「マディソン郡の恋」(2005年)はインディーズも含め、それなりの枚数が売れました。2作目の「雨の旅人」は私も大好きな曲ですが、カラオケで歌うのには「難しい曲ですねぇ」と言われ……。デビュー曲ほど売り上げ枚数もあまり伸びませんでした。私は心の中でこの年齢でデビューさせていただけること自体、奇跡であるので、2作目でもう辞めようかと、口には出していませんでしたが、思っていました。するとディレクターさんが「もう1曲歌ってみては?」と。上がってきたのが「愛のままで…」でした。