秋元順子さん58歳デビューから「愛のままで…」ヒットまで
CDが発売になり、各地のキャンペーンで歌うある日の会場。椅子の上に正座して身動きもせずジッと聴いてくださる方や、別の会場では当時90歳と84歳のご夫婦が手をつないで、涙を流しながら聴いてくださっていることもありました。
この時に歌の重さや、歌い手が魂を込めて歌うことにより、聴いてくださる方の心に響くものが違うと感じました。
それから歌い方が少しずつ変わり、不思議な風が吹いていると感じました。08年1月末に発売され、4月にNHK「歌謡コンサート」に出演させていただきましたら、それは大変な反響でした。その年の暮れの紅白歌合戦に出演させていただき、年明けにはオリコン総合チャートで1位。それからは取材、テレビ、ラジオ出演、コンサート、ディナーショーなど、怒涛のスケジュールでした。そして翌年も「愛のままで…」で2年連続紅白に出演させていただきました。
私の人生を変えた曲はもちろん「愛のままで…」でございます。
チャンスが巡ってくるまで自分を磨き、技術を磨き、人とのかかわりを大切にする時間を神様が与えてくれた気がいたします。もし30代で「愛のままで…」を歌わせていただいたとしても、こうはならなかったと思います。70歳を過ぎてもジャズを歌っていたマキシン・サリバンも大好きです。「いくつになっても健康で声を維持できたらジャズは歌える」というジャズの先輩の言葉を信じて歌い続けます。
(聞き手=峯田淳/日刊ゲンダイ)