「ドローン・オブ・ウォー」通勤型戦闘員が抱える苦悩

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 敵と味方が戦う戦争映画ではない。テーマは遠距離攻撃に従事する軍人の苦悩だ。ミサイル攻撃の場面に爆発音はなく、きわめて静かに爆殺が進行していく。

 トミーのような職業は「通勤型戦闘員」と呼ばれている。彼は毎日、ラスベガスの色鮮やかなネオンの中を通勤。アフガンの砂漠との対比はまるで天国と地獄だ。

 トミーはCIAの高圧的な命令で市民や子供を殺害。上官は職務として割り切れと言い、若手は鼻歌まじりでミサイルを放つ。モリーは米国人の妻らしく自己主張し、夫の残業で自分の予定が狂ったことをなじる。悩めるトミーは意識が茫然。騎乗位の妻に応じず、虚空を見上げるのだ。

 なぜこうなるのか。

 特殊な任務環境が原因だ。「最強!世界の未来兵器」(Gakken)という本を読んでいたら、無人攻撃についてこんな一文があった。

「無人機コントローラー(操縦者)は、基地内のオペレーション・ルームに入ると即目的地(戦場)であり、生々しい監視任務や攻撃任務の後に(次の担当者に引き継いで)オペレーション・ルームを出た瞬間に、“穏やかな”基地のオフィスに引き戻される。これを繰り返すうちに心理的不安定感を訴えるコントローラーが頻出したのだ」

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