松尾貴史さん ナンシー関さんは自分を厳しく律していた

公開日: 更新日:

批評しにくくなるから芸能関係の人とは会わないようにしていた

 ある夜、「俺のことは書かないでほしい」と僕が言ったら、「松尾さんのことは書かないっスよ」と。ナンシーは「親しくなってると批評しにくいから。だから私は他の芸能関係の人とは極力会わないようにして生活している」と言っていました。

 会うと批評性が鈍るということです。そう言われて目からうろこでした。ジャーナリストが政治家と仲よくなっちゃうと批評しにくくなるけど、ナンシーはお堅い原稿を書いていたわけではないのにその点はすごく自分を律していた人でした。

 僕は折り紙をやっている芸能人として、ナンシーのコラムにチラッと名前が挙がっただけ。消しゴム版画で顔を描いてもらったことはあります。

 付き合いはナンシーが亡くなるまで続きました。亡くなったという知らせは漫画家の朝倉世界一さんから連絡をもらったと記憶してます。駒沢の病院の霊安室に昼までいると聞き、その後は青森に帰って荼毘に付されるというので、朝早くに会いに行きましたね。

 お別れの会は僕が司会を務めました。たくさんいらっしゃいましたね。賑やかで笑い合うという感じの会でした。

 今も、浦風親方が幹事になってくれて、昔よく飲んでいた店に年1回くらい集まりますが、そういう夜には話の流れでナンシーの話になることも多いです。

 ナンシーと仲よしだった放送作家の町山広美さんが下北沢に「場末」という名の画廊でも古本屋でもない小さなスペースを最近オープンしています。

 小さくですけど、ナンシーの消しゴム版画の現物も飾ってあります。もし興味がある方は足を運んでみてください。

(聞き手=松野大介)

▽まつお・たかし 1960年5月、兵庫県生まれ。俳優、タレント、ナレーター、コラムニスト、折り顔作家など幅広い分野で活躍。一枚の正方形の紙を折って人の顔を表現するアート「折り顔」の作品集を好評発売中。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  2. 2

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  3. 3

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  4. 4

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  5. 5

    貧打広島が今オフ異例のFA参戦へ…狙うは地元出身の安打製造機 歴史的失速でチーム内外から「補強して」

  1. 6

    紀子さま誕生日文書ににじむ長女・眞子さんとの距離…コロナ明けでも里帰りせず心配事は山積み

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    メジャー挑戦、残留、国内移籍…広島・森下、大瀬良、九里の去就問題は三者三様

  4. 9

    かつての大谷が思い描いた「投打の理想」 避けられないと悟った「永遠の課題」とは

  5. 10

    大谷が初めて明かしたメジャーへの思い「自分に年俸30億円、総額200億円の価値?ないでしょうね…」