「日本独立」の渡辺大 国家の歴史を知ることが求められる
戦争に負けてもこの国は誰にも渡さない――。第2次大戦後、GHQを相手に互角に渡り合った後の総理大臣、吉田茂(小林薫)と、その右腕として活躍した実業家の白洲次郎(浅野忠信)。この2人が米国主導で推し進められる憲法改正にあらがい、日本が独立を勝ち取るまでを描いた骨太の歴史映画「日本独立」が話題になっている。同作で「戦艦大和ノ最期」を著した作家の吉田満役を演じているのが渡辺大(36)だ。
吉田満は戦艦大和の生き残りとして、戦争の悲劇、亡くなった戦友への思いを「戦艦大和ノ最期」につづったがGHQの検閲に引っかかり、日本が講和・独立した後にようやく出版が認められたという歴史的な経緯があった。「日本独立」の伊藤俊也監督はプロダクションノートで「軍国主義で検閲されたというよりも、死んでいった日本人と生き残った日本人との絆を断たれたということ。戦前の日本を否定されたところで戦後日本のレールを敷かれて歩まされるという、まさに世界第一の戦略国家アメリカに仕切られて日本の戦後ができてしまった、その無念さというのを吉田満のエピソードで描けたのではないかと思っています」とコメント。吉田満のエピソードをメインストーリーに絡ませたところが今作のユニークなところだという。
「日本の近現代史をもっと知るべきではないか」
「伊藤監督とは3億円事件をテーマにした映画『ロストクライム―閃光―』(2010年)以来ですが、現場では優しさの中にも僕らがどう解釈して表現しているのか試されているような独特の緊張感がありますね。
僕が演じた吉田満は海軍の一員として戦艦大和に乗り込みますが、撃沈後も運良く助かり戦後を生き延びます。死んでいった戦友の無念さや生き残ってしまった葛藤などを伊藤監督がエンタメ作品としてうまく昇華してくれました。
この作品に出演して感じたことは、日本が今の形になるまでの近現代史をもっと知るべきではないかということです。教育の中できちんと民主主義の成り立ちを教えるべきですし、国家の歴史を知ることこそが、成熟した大人に求められている時代だと思います」