「夜空」でレコ大受賞の五木ひろしは野口プロ所属の第1号
「戦後最大の黒幕」「政財界のフィクサー」と畏怖され、戦後日本を操った児玉誉士夫が、戦前戦中と上海の児玉機関を拠点に、中国大陸で暗躍したことはよく知られている。
大量のモリブデン、ラジウム、マイカ、銅などの航空資材を優先的に海軍に卸して、広範囲な人脈を得ながら、ダイヤやプラチナを蓄財して莫大な財を成した。1955年に結党した自民党の創設資金は児玉の資産から捻出されたといわれる。
一足早く府中刑務所を出所して上海に渡った児玉が、野口進に一家全員で上海に来るように要請したのである。
とはいえ、このとき野口家が上海で従事したのは、政治活動でもなければ、拳闘の仕事でもなく、芸能の仕事だったのである。(つづく)