落語家・桂宮治「笑点」メンバー大抜擢記念 親交10年の山田邦子と大いに語る

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「笑点」はチームワーク

 国民的人気演芸番組「笑点」(日本テレビ系)の大喜利メンバーに大抜擢。一躍“時の人”になった落語家の桂宮治師匠(45)。実は山田邦子さん(61)とは長年、親交があり、昨年2月に行われた真打ち昇進披露パーティーや真打ち昇進披露興行には邦子さんも参加。そんな気のおけない間柄の2人が「笑点」レギュラー入りを記念して大いに語り合った。

 ◇  ◇  ◇

邦子「まずは本当におめでとう。よかったわねえ。『笑点』がスタートして1カ月ほど過ぎたけど、どう?」

宮治「やっと忙しさに慣れてきました。去年12月とこの1月はスケジュール帳が真っ黒。とにかくバタバタしていました」

邦子「事務所に所属せず、マネジャーもいなくて、全部、自分で管理してるのよね」

宮治「そうなんです」

邦子「街でジロジロ見られるようになったでしょ? 今に帽子かぶってサングラスかけるようになるわよ」

宮治「そんな芸能人ぶってる寄席芸人は嫌です(笑い)。実は今、みなさんに思われているほど、自分ではすごいハッピーではないんです」

邦子「どういうこと?」

宮治「『笑点』は55年も続いている歴史ある番組ですし、共演者は大先輩ばかり。すごい緊張するし、プレッシャーだし、やらなきゃいけないことがたくさんあって……。寝ても夜中の3時、4時に目が覚めるんです」

邦子「年なんじゃないの? 私も夜中に目が覚めるけど、そうしたらもう朝だと思って起きちゃって原稿書いたり、縫い物したり、部屋の模様替えしたりしてるわよ」

宮治「ボクはイライラして。テレビ見たりしてるうちに朝日が昇ってきて、やっとホッとして眠れるんです」

邦子「ドラキュラか(笑い)。『笑点』は高視聴率取れてるし、あなたは良い風を吹かすから全然心配することないわよ。明るくて元気があって」

宮治「バカな小学生みたいじゃないですか(笑い)。正式メンバー入りした初回放送の23日は、大相撲の千秋楽と裏で重なったんですよ。しかも優勝争いがもつれ込んでて。巴戦にでもなったら相撲中継に視聴率を取られてしまう。だから、御嶽海を必死で応援しました。優勝を決めてくれた時は、もう泣きそうになって。やったー!! って(笑い)」

邦子「宮治クンはネガティブなのよね」

宮治「板に上がるとやり過ぎちゃうし、下りるとネガティブ過ぎて。変わらなきゃいけませんね。こんなボクを大喜利メンバーの先輩師匠方はファミリーとして温かく迎えてくださった。1回目の収録後、みなさんから“それでいいんだ”と言っていただいて。そうか、『笑点』はチームワークなんだなと感じました」

リハーサル1分前に真っ赤な顔で“セーフ!”

邦子「宮治クンとの付き合いは長いのよね。私は2008年から11年間、NHKラジオ第1の『日曜バラエティー』っていう生放送の番組で総合司会をしてたんだけど、そこで共演したのが最初だよね」

宮治「ボクは12年から3年間、噺家3人の“コロコロトリオ”のメンバーとして出演させていただきました。二つ目になりたての35歳の時で、初めてのレギュラー番組。それでいきなり邦子さんと共演だったんでドキドキで。邦子さんは女性芸人のパイオニアなのに、コントとかのネタを毎週作っていましたよね。すごく勉強になりました」

邦子「ネタは11年で合計約450本作ったからね。宮治ときたらリハーサルが10時スタートなのに、1分前に前日のお酒が残った真っ赤な顔で滑り込んできて、両手広げて“セーフ!”なんて言ってたけど(笑い)」

宮治「毎回じゃないですよ! 当時はプロ意識が欠けていました。ボクも暴露すると、邦子さんはイケメンが好きなんですよね。演歌歌手の山内恵介さんがゲストで来た時は……」

邦子「楽屋のテーブルを奇麗に拭いたりしてたわね(笑い)」

宮治「邦子さんはお優しいんです。ボクがセーフ! なんてやっても怒るでもなく毎回、本番前の休憩時間にボクら“コロコロトリオ”をNHKの食堂に連れていってくれました。しかも、まだペーペーのボクらに普通に話してくれて。だから甘えて『オレ、大盛りで』『生卵つけていいですか?』なんて言ってました。番組卒業の時は送別会を開いてくれるし、一緒に飲んだ時には『宮治は売れるよ』って言ってくれて、忘れられないです」

邦子「だって番組は公開収録だったから、大抵はゲストの歌手の方のファンが客席を埋めるのに、宮治クンが出演し始めたら、あなたのファンになってたもんね。お客さんに愛されてた。当時、生放送が終わって帰宅してテレビつけると放送していたのが『笑点』。それに今は宮治がレギュラーかと思うと感慨深いわ」

宮治「念のため言っておきますけど、『笑点』の収録には集合時間の1時間以上前には行っています(苦笑い)」

実演販売で年収1000万円も罪悪感

邦子「落語の世界に入る前は化粧品の営業をやってたの?」

宮治「実演販売ですね。スーパーとかに買い物に来たお客さんにサンプル配って、しゃべって、買っていただくという。新商品を売り始める時は新作落語を作る感覚でした」

邦子「やっぱり、しゃべってたんだ。年収1000万円あったんでしょ」

宮治「本当は800万円ぐらいです」

邦子「それでもすごい。話術で買わせるなんて、気持ち良かったでしょ」

宮治「最初だけですね。数年したら、つらくてしょうがなくなっちゃったんです。ボクに出会わなきゃ、みんな無駄遣いしなくて済んだのに、家に帰ったら後悔してるんだろうな、と思うと罪悪感が」

邦子「後悔したのは奥さんだったんじゃないの?結婚式で『辞めて落語家になります!』って宣言したんでしょ。よく、離婚されずについてきてくれたわね」

宮治「むしろ、カミさんが辞めるよう勧めてくれたんです。苦しんでボロボロになっているボクを横で見てて『そんなにつらいんじゃ、続けられないでしょ』って。それで、ほかに何かやりたいことを探してて落語に出合いました」

邦子「じゃあ、奥さんは今、喜んでるでしょう」

宮治「カミさんは常に平常心。変わりませんね。カミさんとウチの桂伸治師匠に出会えなかったら、ボクはダメになっていたと思います」

邦子「感激屋だから真打ち昇進披露パーティーでも泣いてたわね。いつも、すぐ泣くの。でも、ウソ泣きだから(笑い)」

宮治「違います!」

邦子「これからは何をしていきたい、という夢はある? 武道館で独演会をやりたい、とか」

宮治「落語は大きいところより300人ぐらいの会場の方が伝わると思うので、そういう会場で独演会の全国ツアーをしっかりやりたいです。それから、どんなに忙しくなっても、これまでもやってきたように僻地や離島の小学校を回り、落語って楽しいんだよと子供たちに知ってもらう活動は続けたいですね」

邦子「ステキね。ぜひやってほしいわ!」

 ◇  ◇  ◇

「笑点」の着物の色は故桂歌丸師匠が回答者時代に身に着けていた若草色に決定。外は真冬の寒さだが、爆笑に次ぐ爆笑で演芸場は風薫る新緑の季節である。

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