大混戦!米アカデミー賞主演女優賞は最年少のクリステン・スチュワート推し
3月28日(日本時間)に授賞式が迫ってきた米アカデミー賞。いったいどの映画が受賞なるか、と期待が深まる中、今年、混戦を極めるのが主演女優と言われています。
しかも興味深いのは、主演女優賞に輝いた5人の出演作がいずれも作品賞や監督賞にノミネートされていないこと。その理由は作品への評価よりも、主演女優の演技力が際立っていたことからノミネートされたのではと推察しています。ただし主演女優賞作品も全て鑑賞した筆者としてはどの作品も秀作であり、いずれも描かれるテーマの世界観が今回の作品賞ノミネートに比べるとやや狭まっていただけなのかもとも感じています。
しかしながら、5作品ともに女性として生まれた人々が抱える問題に焦点を当てたものであり、うち3本は実話がベースというアカデミー賞好みのラインナップです。では、どんな作品なのか、注目作を踏まえてご紹介します。
■“実話”3本のうち2本はお茶の間の人気者が主人公
まずは『女王陛下のお気に入り』(2018)で一度アカデミー賞主演女優賞を手にしているオリヴィア・コールマン主演の『ロスト・ドーター』。これはNetflix作品であり、バカンス先で、オリヴィア・コールマン演じる主人公の中年女性が若い母娘と出会ったことで過去の子育ての苦労がフラッシュバックし、思いも寄らない行動に出てしまう、というもの。
次に『それでも恋するバルセロナ』(2008)でアカデミー賞助演女優賞を受賞したペネロペ・クルス主演のスペイン映画『パラレル・マザーズ(英題)』。本作は同じ日に出産し、共にシングルマザーとして娘を育てる二人の女性の数奇な運命を描き、死生観を綴った作品です。
実話ベースの3本のうち2本は、偶然にもお茶の間の人気者が主人公というのも興味深いですね。ひとつは今までアカデミー賞ノミネーションだけでとどまっているジェシカ・チャステイン主演、テレビ伝道師タミー・フェイとジム・ベイカー夫婦の波乱万丈な人生を描いた『タミー・フェイの瞳』。2つめは『めぐりあう時間たち』(2002)でアカデミー賞主演女優賞を受賞したニコール・キッドマン主演、人気シットコム「アイ・ラブ・ルーシー」のリカード夫妻を演じたルシル・ボールとデジ・アナーズ夫婦の表と裏の姿を描いた『愛すべき夫婦の秘密』です。
■ノミネート最年少のクリステン・スチュワートが鮮烈に演じるダイアナ妃
そんな中、世界中に知られる悲劇のプリンセス、故ダイアナ妃の知られざる3日間を描いた作品『スペンサー ダイアナの決意』でアカデミー賞初ノミネートとなったのがクリステン・スチュワート。その姿は仕草や話し方からダイアナ本人を彷彿させ、ダイアナの壊れゆく精神をカメラがしっかりと捉えるという圧巻の映像表現でした。
個人的には5人の中で最年少であり、初ノミネートのクリステンの演技が脳裏に焼き付くのみならず、シャネル全面協力による当時のダイアナファッションや見惚れるほどの画や、その後に起こった歴史に残るニュースへの伏線としても極上のサスペンスに仕上がっている本作を推したいところですが、結果はさて?