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立岩陽一郎ジャーナリスト

NPOメディア「InFact」編集長、大阪芸大短期大学部教授。NHKでテヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクなどを経て現職。日刊ゲンダイ本紙コラムを書籍化した「ファクトチェック・ニッポン 安倍政権の7年8カ月を風化させない真実」はじめ、「コロナの時代を生きるためのファクトチェック」「トランプ王国の素顔」「ファクトチェックとは何か」(共著)「NHK 日本的メディアの内幕」など著書多数。毎日放送「よんチャンTV」、フジテレビ「めざまし8」に出演中。

「ジャーナリストの定義」とは何か 国家資格や認定試験はなく全て自称だが…

公開日: 更新日:

 私がジャーナリストという肩書を最初に与えられたのは、あるイベントだった。NHK退職間もない頃にシンポジウムに出た際、肩書をどうするかで議論となった。「元NHK記者」か? 私はNHKを辞めても「記者」でいいかと思ったが、無所属の「記者」はおかしいとなった。結局、「ジャーナリスト」という肩書に落ち着いた。不満だったわけではないが、「どこにも所属していないと『記者』とは言えないのか」という事実に小さな衝撃を受けた。

 とはいえ、ジャーナリストの肩書が社会的な問題になるケースはある。ウィキリークスのジュリアン・アサンジ氏だ。アメリカ政府の機密文書を公開したとして、アメリカ政府が訴追手続きに入ったときのことだ。アメリカ政府は、アサンジ氏はハッカーであり、ジャーナリストにはあたらないとした。まさに、自称ジャーナリストということだ。アメリカ政府の意図は、訴追を正当化するためのものだ。仮に、アサンジ氏をジャーナリストとして認めてしまうと、憲法修正条項1条で認められた報道・表現の自由に抵触する恐れが出るからだ。

 これに対してアサンジ氏は、「メディアを主宰し、本を何冊も書いている私がジャーナリストではないのか?」などと反発を示した。アサンジ氏が在英エクアドル大使館に逃亡したため議論は中断した形になったが、今後の展開では、また議論になるだろう。

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