是枝裕和監督がカンヌ映画祭で切実な訴え…日本映画界の「危機的状況」を示すデータ
「もっとも、過去最高を記録した2019年の興収は全体で2611億8000万円ですからね。今はまだまだ本調子とは言えないし、危機的な状況にあることに変わりはありません。それに“稼げる映画”に偏りがありすぎますよ」(前出の映画会社関係者)
2021年の興収トップ3は「シン・エヴァンゲリオン劇場版」(102億8000万円)、「名探偵コナン 緋色の弾丸」(76億5000万円)、「竜とそばかすの姫」(66億円)と、いずれもアニメ。4位でようやく実写がランクインとはいえ、「ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”」(45億5000万円)。アイドルグループ「嵐」の初のライブフィルムだ。
5位の「東京リベンジャーズ」(45億円)も、6位の「るろうに剣心 最終章 The Final」(43億5000万円)も実写だが、原作はいずれも人気コミック。
「要するに、是枝監督のように脚本も手がける“プロの映画人”によるオリジナル作品に、なかなか足を運んでもらえないというわけです。名前でお客さんを呼べる映画監督も是枝さんなど、ごく一握りしかいない。日本で映画一本で食べていける人なんてほとんどいませんし、それでは次代の映画文化を担う人材だって育ちません。そういう意味も含めて、是枝監督は〈危機感を持つべき〉と言ったのだと思います」(映画ライタ―)
そもそも韓国のエンタメ業界は世界を意識して発信している。日本の映画界はといえば……世界で勝負できるのは、やはりアニメだろう。それだって立派な日本の文化だが、確かに偏りがありすぎるか。