川畑泰史は調整役で気遣いの人 お金を入れず渡してしまったご祝儀袋に「スイマセンけど…」
数年前からは川畑君自身がNSCの演技の授業も受け持っていて、30年を超えるキャリアがありながら、上からではなく生徒と同じ目線に立って考えてくれる名講師。培ってきたノウハウを優しく、時に厳しく指導してくれています。
25年以上も前になりますが、川畑君には大失敗をして気を使わせたことがありました。彼が結婚してしばらくたってからのことでした。
「先生、ちょっとよろしいでしょうか?」と神妙な顔で言ってきたので“なんの相談やろう? 川畑君にしては珍しいな”と思いながら「かまへんよ、なんかあったんか?」と尋ねると「言おうかどうしようか、悩んだんですけど、シャレやったら早よ言わなあかんし……」といつもの歯切れよさはなく、もぞもぞしているので「なんやねんな? ハッキリ言うたらええやん」と促すと「言います。先生に頂いた祝儀袋、中、入ってなかったんです。スイマセン」と頭を下げるのです。
まったく予想もしていなかった言葉に驚いて「ホンマに? マジで? 空やった?」「はい……」。手を合わせて「ごめん! 全然記憶ないわ、失礼しました。奥さんにも謝っといてね」「先生のことなんでひょっとしたらシャレで、入れんのん忘れとってんて、言うて来はるかもしれへんし、言っていいもんか悪いもんか考えてました」