「日曜の夜ぐらいは…」どこにでもいそうな3人が何とも切なく愛おしい
「日曜の夜ぐらいは…」(ABCテレビ・テレビ朝日系)は、どこにでもいそうな3人の女性が織りなす友情物語だ。
サチ(清野菜名)は足の不自由な母(和久井映見)を支えながら働いている。地方在住の若葉(生見愛瑠)は祖母と同じ工場に勤務。そして翔子(岸井ゆきの)は1人暮らしのタクシー運転手だ。それぞれが鬱屈を抱えながら日々を生きていた。
3人が知り合ったのは、ラジオのリスナー限定バスツアーだ。どこか気が合い、互いに友だちを得たように感じる。その一方で、「友情」に対して後悔や裏切りといった言葉が思い浮かぶ3人は、無理に距離をとる。このあたりの微妙な感情を、脚本の岡田恵和が繊細にすくい上げていく。
ツアーの最中、一緒に買った3枚の宝くじ。その中の1枚が3000万円当たったことで物語にドライブがかかる。再会して均等に分け合うが、その後は慣れない大金に戸惑い気味だ。結局、共同出資でカフェを開きたいという話になった。
サチに金の無心をする父親(尾美としのり)や、若葉の有り金を持ち去る母親(矢田亜希子)を振り切り、翔子の口癖である「つまんねえ人生」を変えることはできるのか。
生きることに不器用で、幸福になることを恐れているような3人が何とも切なく愛おしい。等身大の女性の喜怒哀楽を伝える清野たちのリアルな演技も見どころだ。