坂東玉三郎“本興行から距離を置く”発言の衝撃…近づく歌舞伎界崩壊の足音
「以前から玉三郎さんは“いつの間にか引退していた”というふうになりたいと語っていたので、ご自身の方針としては変わっていない。ただ、あえて言うということは何か心境の変化があったのだと思われます。歌舞伎興行が体力的に厳しいのは確かで、それでも立ち続けられるのは日々の鍛錬と自分の子や孫のためというモチベーションが原動力の一つになっている。また歌舞伎界では高齢になると動きが少ない、セリフの少ない役へと移行していきますが、玉三郎さんはそのような舞台の立ち方は望んでいないということでもあります」
このまま玉三郎のように歌舞伎の本興行から“距離を置く”役者は増えるのか。最近では、漫画原作のスーパー歌舞伎「ワンピース」が大入り。7月にはオタク女子に人気の「刀剣乱舞」を新橋演舞場で公演するなど新作歌舞伎へとシフト。伝統ある歌舞伎界は崩壊に向かうのか。
「純粋に公演だけで収益を得られるのは団十郎さんぐらいでしょう。いくら名家でもごひいき筋のスポンサードがあって成り立つので、そう自由に離れられるものではありません。玉三郎さんは集客力もあり、独身なので、ある意味自分のやりたいことを優先できる立場にありますが。ひいき筋もコロナを機にだいぶ減ってしまいましたから、松竹は新作歌舞伎で新たな若いファンを獲得し、本興行でひいき筋の継続と二軸で運営していくのではないでしょうか」(前出の中川氏)
歌舞伎の世界がギシギシときしんでいる。