昨年保険適用 大動脈弁狭窄症の新治療法「TAVI」とは?
それは、大動脈弁狭窄症は65歳以上で発症率が高くなり、80代の患者さんも非常に多いことだ。
「高齢で体力が低下している上に、ほかの疾患を併発している人が珍しくない。心臓にメスを入れ、手術中は心臓を止める大動脈弁置換術は体への負担が大きく、適応できない患者さんが少なくありませんでした」
つまり、「打つ手がない」。息苦しさでほとんど動けず、心不全で入院を数週間おきに繰り返し、最後は息を引き取る――。
「私たち医師はなにもできなくて、ただみとるしかできず、無力感がありました」
ところがTAVIの登場で、大動脈弁置換術が受けられない人でも、大動脈弁狭窄症から“生還”できるようになった。
TAVIは、太ももの付け根に1センチ弱の小さな穴を開け、そこから鉛筆ほどの太さに折りたたまれた生体弁を装着したカテーテルを入れ、大動脈を通って心臓まで運ぶ。生体弁が大動脈弁の位置に到着したら、バルーン(風船)を膨らませ、生体弁を広げて留置し、カテーテルを抜き取る。