元サッカー選手 杉山新さん(34) 1型糖尿病
「それでいつ治るのですか?」
そう聞いた僕に、医者は言いにくそうに答えました。
「この病気は今の医学では一生治りません。とにかくこのまま入院してください」
罹患した原因は医学的に解明されていません。なので、僕がなぜ罹患したか、今も不明です。受け入れるしかありませんでした。
入院している間は何も考えられず、ひたすら寝続けました。筋肉はすっかり落ちてしまい、68キロあった体重も60キロを切ってしまった。
2週間の入院から自宅に戻ると、リーグ戦は終わっていました。提示された翌年の年俸は「0円」。これは“契約更新なし”を意味します。ただ、チームと一緒にトレーニングできる「練習生」としてとどまれたことは一筋の光でした。
「病気でもプレーできることを証明し、もう一度プロとして認めてもらう!」
1型糖尿病は、毎食前と寝る前の1日4回、血糖値を調べてインスリンの量を調整し、自分で注射をします。激しいトレーニングをすると、糖分は多く消費されます。練習前に薬で平常値まで下げていると、今度は低血糖になってしまう。