元サッカー選手 杉山新さん(34) 1型糖尿病
血糖値は下がり過ぎると頭が痛くなったり、舌がしびれたりする。そんな時は、スポーツドリンクを飲んで血糖値を上げるのですが、僕の体は血糖値を上げようとする力が強く、すぐに高血糖になる。練習の負荷を見極め、適量を注射できるまで試行錯誤が続きました。
3カ月が経ち、糖尿病との付き合い方が分かってきました。松永英機監督(当時)が「糖尿病でもプレーできるはず」とクラブの海野一幸社長を説得してくれ、04年シーズン開幕前に僕はプロとして再契約できました。この2人が糖尿病に理解を示し、後押ししてくれたことに感謝すると同時に、彼らの期待が「糖尿病でも成果を挙げてみせる」という思いの原動力になりました。
今年2月、15年のプロ人生に終止符を打つことを決めました。06年に甲府でJ1昇格できたのはいい思い出です。プロのピッチに立っていた15年のうち、10年は糖尿病患者。
病気のおかげで健康に気を使い、選手生命を延ばすことができたのではないか――。今となってはそう思います。
引退後は指導者を目指し、malvaサッカースクールでコーチを始めました。指導者として大成するには険しい道が待っていますが、1型糖尿病と診断された時と同じように、諦めず走り続けていきます。