元プロボクサー 竹原慎二さん(43) 膀胱がん
ネットで調べると、リンパ節への転移で生存率は30%台。セカンドオピニオン、サードオピニオンと違う病院を訪ねても結果は変わらず、聞くたびに落ち込む。「俺はもう死ぬんだ」とため息がこぼれました。
生検した病院で治療することに決めたのですが、方針を聞くと「君に専門治療がわかるのか」と言わんばかりで。自分の血液中の免疫細胞を採取・増殖させて体内に戻す「免疫療法」をやりたいと言っても、根拠がないと一蹴。検査データの貸し出しも渋々……。
ボクシングジムを共同で経営している畑山(隆則)に話したら「専門病院で納得のいく治療をしたほうがいい」と言う。それで病院をキャンセルし、東大病院に変更した。こちらの医師は俺の意向を聞き入れてくれるし、スタッフの方が皆やさしい。治療に対する心理的な負担はかなり減り、病院選びも大事だと気づきましたね。
治療は、2カ月間の抗がん剤治療でがんを小さくしてから手術をする方針。治療開始から3週目に髪がごっそり抜け落ちました。
手術は、リンパ節と膀胱の全摘出と、小腸を60センチ切って代替の膀胱を作るというもの。別の臓器が膀胱になるなんて、人間の体ってすごいもんです。パウチ袋を外付けする人工膀胱は免れたものの、術後の痛さがハンパじゃなかった。全く歩けない。ボクシングのダメージなんて比じゃありません。リンパ節を取ったせいで、いまだに内腿にしびれも残っていますしね。