元衆院議員 与謝野馨さん(76) 下咽頭がん ㊦
シャント法は聞き取りにくい言葉も英語もちゃんと伝わりますし、優れたものだと思います。ただし、無理やり気道を押さえますから、長時間になると誤嚥の危険性も高まります。そこで、1件の打ち合わせは45分程度に抑えています。
通院は月に1回。弁が緩んだり、空気を運ぶ気道にカビが生えることもあるので定期的にメンテナンスが必要です。弁も交換が必要ですが、この弁が保険でお世話になっても3万円近くするので値段が高い。
最近は、そういった機能を多くの人に知ってもらって、患者さんたちの負担を減らせるよう、シャント法に関する講演にも注力しています。いくら知識と機能を説明しても、音が出ないCDプレーヤーみたいなものでは意味がない。それよりも私がひと言話すだけで、シャント法の有用性が誰にでもすぐ分かる。
がんはちゃんと治療すれば治る病気です。私は、抗がん剤は使ったほうがいいと思います。こうして途中再発を繰り返しながらも、大臣の仕事をこなせたのは、現代医学を信じて身を任せたおかげですから。ちなみに、この髪は地毛。抗がん剤治療で一度脱毛したおかげで黒々とした髪が生えてきました。これもある意味、抗がん剤治療のギフトですね。