看護師11万人を追跡調査 「夜勤」は健康に良くないのか?
夜勤のある人は、生活が不規則になりがちなものです。不規則な生活は、いわゆる生活習慣病などを引き起こしやすいと考えられますが、看護師を対象に「夜勤と心臓病発症の関連」を検討した論文が、米国医師会誌(2016年4月26日付)に掲載されました。
この研究は米国の看護師を登録した大規模データベース「看護師健康調査」(NHS)から7万3623人(平均54.5歳)、同じく「看護師健康調査Ⅱ」(NHSⅡ)から11万5535人(平均34.8歳)が対象となっています。通常勤務に加えて月に3日以上夜勤がある看護師と夜勤のない看護師を比較し、心臓病の発症について24年間にわたり追跡調査しました。
その結果、夜勤のある看護師は、勤務年数が長くなるにつれて心臓病の発症リスクがわずかに増加しました。NHSのデータベース解析では、夜勤歴が5年未満では明確な差が見られませんでしたが、夜勤歴が5~9年では1.12倍、さらに10年以上になると1.18倍、統計学的にも有意に増加するという結果になっています。
NHSⅡのデータベース解析もほぼ同様で、夜間勤務従事歴が5年未満では明確な差が見られませんでしたが、従事歴が5~9年の看護師は1.12倍、さらに10年以上になると1.15倍、統計学的にも有意に増加することが示されています。
夜勤歴が長くなるほど、心臓病発症リスクが増加することが示唆されていますが、そのリスクはごくわずかという印象です。とはいえ、夜勤による身体的、精神的負担は人それぞれであり、また心臓病以外にも、さまざまな健康への影響に配慮する必要があります。