アッシャー症候群のジョー・ミルンさんは聾盲者メンターに
その時の様子の動画を友人がユーチューブにアップしてくれました。すると翌日、私の家にテレビ局や新聞社の取材が来て、アッという間に私は話題の人になり、「聾盲者のメンター」として啓蒙活動に携わるようになりました。
まだ聴力を得てから日が浅いので、情報過多で疲れる時もあります。キッチンの時計の音ですら、不安に感じる時もあります。ただ、今はやかんのお湯が沸騰しても音で分かるし、視界は狭いものの生活に支障がなくなったので、盲導犬はいったんお返しして自分ひとりで行動しています。今回、日本にも私ひとりでやって来たんですよ。
障害をすべて解消することはできませんが、自立はできます。ただ、周りの人々の「無知」は障害を持つ人たちを時に“無意識に”傷つけてしまう。どういう障害があって、どんな苦労があるのか。どうサポートしたら障害者が自立できるのか。私の存在を通じて、そういったことも考えてもらえたらと思います。
(聞き手=岩渕景子)
▽ジョー・ミルン 1974年、イングランド生まれ。生後16カ月で全聾と診断され、29歳でアッシャー症候群と判明。2014年、39歳で人工内耳の手術を受け、生まれて初めて音が聞こえるようになった。現在は、聾盲者のメンターとして、啓蒙活動に励む。自伝「音に出会った日」(辰巳出版)を上梓。ツイッター@jomilne10