睡眠時間が長いと認知症になりやすいのか?
しっかりと睡眠をとることは、健康を保つためには大切な生活習慣です。それではどのくらいの長さの睡眠が、最も健康的なのでしょうか?
それについてはいろいろな意見があって、科学的には結論が出ていません。2016年の医学の専門誌に、「睡眠時間が長いと認知症の危険が高まる」というちょっとショッキングな結果が報告されました。これは、それまでに発表された多くの論文のデータをまとめて分析したものですが、「睡眠時間が8時間を超えるような人は、短い人より40%以上認知症になる危険性が高かった」という結果になっています。
ただ、これは長く眠る習慣が良くないというよりは、眠りの質の問題なのかもしれません。認知症では睡眠の異常が起こることがあり、夜しっかり眠っているのに、昼間の眠気が強くなることがあります。また、一部の認知症では、眠っている時に夢を見ながら体が動いてしまうことがあり、その症状は認知症が分かるずっと前から、起こっているといわれています。
こうした睡眠の異常がある人は、睡眠時間としては長く眠っているのですが、実際には健康な睡眠をとれていないのです。健康な睡眠というのは時間の問題ではなく、実は質の問題です。時間は多少短くても、規則的に睡眠をとることが出来て、目覚めが良く、疲労の蓄積や昼間の眠気がないことが、一番健康的なのではないでしょうか。