不思議な因果関係 男性ホルモンが多いとウソをつかない?
男性ホルモンである「テストステロン」が低下すると、元気がなくなったり、筋肉の力が落ちたりといった「男性更年期」といわれるような症状が出ることがあります。テストステロンは脳の発達にも影響を与えていて、悪い側面としては、男性の暴力的な言動と関係がある可能性があります。その一方で、生きるための活力やプライドのようなものも、テストステロンと関連があるという報告もあります。
誰も見ていない場所で、目先の損得のためにウソをつくのは、プライドが低い人に多い行動です。それでは、こうしたウソをつく人が男性ホルモンを使用すると、ウソをつかなくなるのではないでしょうか?
少しバカバカしい感じもするのですが、こうした研究が真面目に行われ、2012年の「プロス・ワン」という医学誌に発表されています。健康な若い男性にテストステロンの塗り薬を使い、それが効いている間にサイコロを使った実験をします。サイコロを振って出た数字に見合った報酬がもらえるというものですが、ウソをつけばたくさんの報酬がもらえます。その結果を、テストステロンを使わない場合と比較すると、男性ホルモンを使用することでウソをついた人が減っていたのです。
これでテストステロンが「正直になるホルモン」と言うのは言い過ぎだと思いますが、意外に人間のウソというのも、体の状態と関係のあることなのかも知れません。