「オバマケア撤廃」大統領令で医療難民急増の可能性
トランプ米大統領がサインした大統領令の中に、最大の公約のひとつだった「医療保険制度改革法(通称オバマケア)の撤廃」があります。
これが本当に施行されると、最初の1年で1800万人ものアメリカ人が健康保険を失う恐れに直面しています。そんなリスクがあるのに、なぜ撤廃しなければならないのでしょうか?
アメリカは日本のような「国民皆保険」ではなく、個人が雇用ベースで民間の保険に加入する仕組みです。一方、低所得者や高齢者のためには国の医療制度があります。その両方に当てはまらない中小企業で働く人や非正規雇用者などは、自分で民間の保険に加入するわけです。しかし、保険料が高額(月額1人3万~20万円)なのと、健康状態によって加入を拒否されることもあり、2010年のオバマケア施行前には無保険の人が16%(4900万人)もいました。
アメリカでは、無保険で医者にかかると風邪で診てもらうだけで3万円以上かかります。無保険の人は、医療を全く受けられないと言っても過言ではありません。
オバマケアは保険加入を義務付ける代わりに、加入者への財政援助を行い、保険会社には健康状態による加入拒否を禁じました。その結果、これまでに2600万人が加入し、一定の成功を収めたと評価されています。