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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

渡瀬恒彦さんのケース<上> がんなら家族が満足する介護できる

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 多臓器不全は、がんの転移などで複数の臓器の機能がダウンした状態でがんの末期によく見られます。そこまでいかなくても、転移が見つかった時に体に負担の重い治療を行うと、それで体力や抵抗力が奪われ、かえってよくない結果を招くことも。渡瀬さんは恐らくそんな治療をせず、緩和ケアなどで痛みを取り除く治療にとどめ、緩やかなスローダウンを受け入れたのだと思います。

 これまでの経験から、がんで動けなくなると、せいぜい1週間ほどで最期を迎えます。それが大きな意味を持つのは、患者を支える家族の介護の負担です。

 ある子宮頚がんを克服した30代女性はその後、肺がんで苦しむ70代の父に寄り添うことに。その時もインフルエンザから気胸を併発。容体が悪化してから1週間、妻と2人の子供に見守られての最期でした。

 1週間という期間なら、みんなががん患者に思いを寄せながら、介護を乗り越えることができます。みとった後、やり切った感を覚える方も少なくありません。愛情を持って見送ることができるのです。認知症脳卒中の後遺症を抱えて、何年も介護が続くのとは決定的に違いますから。

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