人工心肺を使わなければならない「2つのケース」
ただ、人工心肺を使って心臓の中を空にしてしまうと、今度は血圧が下がりすぎてしまう問題が出てきます。そのため、心臓内の血液はある程度残して自分の心臓で血液を送り出させ、足りない分を人工心肺で補助する形で手術を行いました。
ほかにも、手術で人工心肺を使わない予定でも、予想外の事態に備えて人工心肺を準備しておく場合があります。術中に出血量が多いとき、人工心肺をつないで血液を回収するケースもあります。患者さんの状態や手術の状況によって、人工心肺をフル活用する必要があるのです。
人工心肺を使う場合、合併症などのリスクを減らすための最大の対策は、できる限り人工心肺を使っている時間を短くすることです。とくに高齢者の手術では、人工心肺を使用している時間が長くなればなるほど死亡率が高くなるというデータが報告されています。
人工心肺を使う時間は、3時間以内が目安です。これを超えると、リスクが上がってしまうといえます。迅速で正確な手術を行い、「人工心肺を使う時間を短くする」=「心臓を止めている時間を短くする」ことが重要なのです。