短時間の過度な飲酒で外傷リスクが25倍に増える
「飲酒」は転倒や事故など、外傷を受けるリスクが高まるといえます。当たり前のように思うかもしれませんが、世界的に見てみると10~20代の若年層において、アルコール過剰摂取を原因とする死亡は年間32万人に達しているといわれています。その死亡原因の多くを外傷が占めているそうです。もちろん日本では飲酒は20歳以上からですが、若い世代を中心に、過度な飲酒をすることも少なくないでしょう。
短時間で大量の飲酒を行うことを「ビンジ飲酒」と呼ぶそうです。このビンジ飲酒と外傷リスクの関連を検討した論文が、2017年6月に東北大学が発行している医学専門誌に掲載されました。
この研究は、20歳以上の大学生および大学院生2177人(平均21.6歳)を対象にしたアンケート調査で、アルコールの摂取頻度、1日当たりのアルコール摂取量、過去1年間のビンジ飲酒、過去1年間の飲酒関連外傷の経験などを調査しています。
その結果、調査対象者全体の52.9%にあたる1151人(男性693人、女性458人)が、過去1年に1回以上、ビンジ飲酒をしていたことが分かりました。また、調査対象者全体の4.9%にあたる107人が、過去1年に1回以上の飲酒関連外傷を経験していました。この107人のうち、実に97.2%にあたる104人がビンジ飲酒をしていました。さらに統計的な解析を実施したところ、ビンジ飲酒をすると飲酒関連外傷のリスクが25倍も増加することが示されました。
短時間での過度の飲酒は急性アルコール中毒だけでなく、外傷のリスクも大きく増加することが示されています。未成年の飲酒や急性アルコール中毒のみならず、ビンジ飲酒と外傷についても十分な啓蒙が必要でしょう。