胃の不調を軽んじない “みぞおち痛”は命に関わる病気かも
「肝臓は『沈黙の臓器』と呼ばれ、痛みを感じる神経がありません。肝臓にできたがんが大きくなってきて、肝臓の被膜が引き伸ばされることでみぞおち付近に痛みを感じるようになります」
みぞおちの痛みは、本人には胃の痛みとして認識される。しかし、そう思い込んでいると、重大病を見逃すことにもなりかねない。
「医師の中にも、みぞおちの痛み=胃の痛みと思い込んでいる人がいるので注意してください。みぞおちの痛みで医者にかかる時は、胃カメラ検査と一緒に腹部エコー検査や造影CT検査を行ってもらうようにしましょう。胃や腸の中にはガスがあってエコーでは見ることができないため、胃カメラは必要です。しかし、逆に胃カメラでは膵臓や肝臓などは見えません。胃の周囲にある膵臓、肝臓、胆のう、胆管といった臓器はエコーやCTで見る必要があります」
また、みぞおち付近に位置する臓器ではないが、狭心症、心筋梗塞、腹部大動脈瘤といった心血管疾患によってみぞおちが痛む場合もある。心臓や血管の痛みは、みぞおちや背中などの痛みと同じく脊髄を通って脳に伝えられる。このとき脳が痛みが起こっている箇所を取り違えると、一見、関係のない箇所に痛みを感じる。「放散痛」と呼ばれるものだ。