カテーテルを痛む場所まで移動し微細血管もろとも神経を消失させる
「運動器カテーテル治療では、手首や太ももの付け根から挿入したカテーテルを痛みの部位まで移動させ、『チエナム』という抗生物質を直接投与します。この薬は溶けにくく粒子状になるので、微細血管を一時的に詰まらせて伴走する神経もろとも消失させるのです。薬は最終的には溶けて流れてしまいます」
■1度の治療で7割以上が満足いく改善
治療は造影剤を使ったレントゲン画像を見ながら行われ、所要時間は患部が1カ所であれば早くて30分、平均で1時間前後。麻酔はカテーテルを挿入する部分の局所麻酔だけなので、治療後は止血のため1時間ほど休んで、ばんそうこうを貼って日帰りができる。
また、モヤモヤ血管の増え方が重度でなければ、カテーテルを使うまでもなく、エコー画像を見ながら注射でステロイド剤を注入する治療法も可能。ステロイド剤には血管を退縮させる作用があるという。注射治療の所要時間は5~10分ほどだ。
「運動器カテーテル治療は、やっても1~2回。7~8割の患者さんは1回の治療で満足する程度まで痛みが改善します。部位や病気によりますが、3年の経過観察で約9割の人は痛みの再発がありません。改善の程度によって必要であれば、注射治療や理学療法(筋肉や関節のほぐし)、食事療法などを加える場合もあります」