死に至る「肺炎」が薬の副作用で発症するケースもある
日本における死亡原因の3位は「肺炎」です。細菌やウイルスへの感染が原因になる場合が多く、とりわけ65歳以上になると要注意です。
そんな肺炎が、薬の副作用として起こるケースがあることをご存じでしょうか?
薬の副作用による肺炎は「間質性肺炎」と呼ばれるもので、肺の間質(薄い肺胞の壁)に炎症を起こします。進行すると呼吸困難や呼吸不全となり、心不全を起こして死を招くことも少なくありません。初期症状は、空咳(痰のからまない咳)や息切れが特徴で、発熱がみられることもあるため、単なる風邪として見落とされがちです。
薬剤性の間質性肺炎が疑われた場合、まず行うべきは被疑薬(副作用が疑われる薬)を中止することです。それだけで自然に回復する場合もあります。つまり、できる限り早く被疑薬を中止することが大切で、そのためには早期発見が必要なのです。
血液検査に加えて胸部X線、CTなどの画像検査で診断を行います。
間質性肺炎を起こす可能性のある薬として、細胞障害性のある抗がん剤の一種(ブレオマイシンやマイトマイシンCなど)が知られています。これらは使用を開始して数週間~数年で間質性肺炎を発症する恐れがあります。ほかにも、肺がん治療薬のゲフィチニブ(イレッサ)は、4週間以内(特に2週間以内)に起こりやすいといわれています。