抗菌剤で大動脈瘤の危険? 英医学誌に衝撃の研究結果が
大動脈瘤というのは体を栄養する太い動脈にできる瘤(こぶ)のようなものです。血管の壁に弱い部分があり、そこが膨れて起こると考えられています。それまで病気がなく元気だったのに、突然亡くなった芸能人の死因が大動脈瘤の破裂であった、というようなニュースは、皆さんも読まれたことがあると思います。
大動脈瘤はなぜできるのでしょうか? 体質的に血管が弱くて起こることもありますが、一番の原因は高血圧と動脈硬化です。ただ、なぜできたのか分からないような動脈瘤もまた多いのです。今年の「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」という一流の医学誌に、感染症の薬である抗菌剤で大動脈瘤が増えるという、ちょっとショッキングな研究結果が報告されました。
全ての抗菌剤にそうした作用が疑われる、というわけではなく、強力な抗菌剤として知られているニューキノロン系というタイプの薬で、そうした結果が得られたのです。ペニシリンという抗生物質を使った場合と比較して、ニューキノロン系の薬を使うと、その後の大動脈瘤の危険が、60%以上も高くなっていました。その原因は不明ですが、抗菌剤の作用により、血管の壁が弱くなる可能性が指摘されています。血圧が高い人や動脈瘤のある人が感染症にかかった時には、抗菌剤の種類にも気を付ける必要がありそうです。