<2>象がほとんどがんにならないのはなぜ?

公開日: 更新日:

「P53は細胞の中にあるタンパク質で、傷ついた遺伝子を修復するか、修復不能な遺伝子を細胞死(アポトーシス)に導くなどの働きがある。人に限らず、がんの半数以上の原因はこのP53遺伝子の異常が関係しているといわれています」

■抑制遺伝子が人間の20倍

 さらに、アフリカゾウとアジアゾウ8頭の血液と、健康な11人、さらにはリ・フラウメニ症候群(P53遺伝子が1コピーしかなく90%が生涯にがんを発症する)の患者10人の血液に放射線を照射し、DNAに損傷を与える実験を行った。

 その結果、象のP53遺伝子は人のそれに比べて、損傷した細胞を修復するよりも死滅させる比率が高かった。その数はなんと健康な人の2倍以上、リ・フラウメニ症候群患者の5倍だった。

「つまり、象ががんにかかりにくい理由は少なくとも、遺伝子が傷ついた細胞などをいたずらに修復しようとせずに、さっさと殺してしまうというプログラムとそれを実行するP53遺伝子が人間の20倍あるからだ、と考えられるのです」(石川教授)

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  2. 2

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  3. 3

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  4. 4

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  5. 5

    貧打広島が今オフ異例のFA参戦へ…狙うは地元出身の安打製造機 歴史的失速でチーム内外から「補強して」

  1. 6

    紀子さま誕生日文書ににじむ長女・眞子さんとの距離…コロナ明けでも里帰りせず心配事は山積み

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    メジャー挑戦、残留、国内移籍…広島・森下、大瀬良、九里の去就問題は三者三様

  4. 9

    かつての大谷が思い描いた「投打の理想」 避けられないと悟った「永遠の課題」とは

  5. 10

    大谷が初めて明かしたメジャーへの思い「自分に年俸30億円、総額200億円の価値?ないでしょうね…」