著者のコラム一覧
名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

高血圧のリスクと降圧剤でリスクが減るということは別

公開日: 更新日:

 今日の話は高血圧がリスクだということと、降圧薬でリスクが減るということは別という話です。わかりにくい話ですが大事なことなので辛抱してお付き合いください。

 具体的な数字でいうと、血圧が130以上の人は、120未満の人に対して2倍くらい脳卒中のリスクが高いのですが、130以上の人に降圧薬による治療をして血圧を120未満にしても、脳卒中が半分になるかどうかはわからないということです。この事実は臨床試験によって繰り返し示されています。

 例えば糖尿病に関しては、血糖を薬で下げても、その分、合併症や死亡のリスクが減らないことが今や明確です。Hb(ヘモグロビン)A1c8%の人に対し、7%の人は合併症のリスクがおおよそ半分になりますが、8%の人をインスリンやスルホニル尿素という薬で7%まで下げても、合併症は半分どころか、せいぜい10%くらいしか減らないことが示されています。メトホルミンという薬でようやく30~40%予防できるという結果ですが、それでも半分には届きません。もともとHbA1cが7%の人と薬で7%になった人は同じではないのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  2. 2

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  3. 3

    「かなり時代錯誤な」と発言したフジ渡辺和洋アナに「どの口が!」の声 コンパニオンと職場で“ゲス不倫”の過去

  4. 4

    中居正広氏「性暴力認定」でも擁護するファンの倒錯…「アイドル依存」「推し活」の恐怖

  5. 5

    「よしもと中堅芸人」がオンカジ書類送検で大量離脱…“一番もったいない”と関係者が嘆く芸人は?

  1. 6

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  2. 7

    入場まで2時間待ち!大阪万博テストランを視察した地元市議が惨状訴える…協会はメディア取材認めず

  3. 8

    米国で国産米が5キロ3000円で売られているナゾ…備蓄米放出後も店頭在庫は枯渇状態なのに

  4. 9

    うつ病で参議員を3カ月で辞職…水道橋博士さんが語るノンビリ銭湯生活と政治への関心

  5. 10

    巨人本拠地3連敗の裏に「頭脳流出」…投手陣が不安視していた開幕前からの懸念が現実に