淋菌<2>咽頭感染 口だけだから心配ない…は大きな誤解
特にオーラルサービス専門店では、クラミジアよりも淋病の方がうつされやすい傾向があるという。なぜか。
「咽頭は、淋菌にとってすみやすい環境だからです。口の中は常在菌が無数にいますが、その中にナイセリア属の細菌が何種類もいます。淋菌はナイセリア属なので、性器だけでなく咽頭も感染しやすいのです。しかし、クラミジアの咽頭感染も決して少なくないので、油断は禁物です」
同院では、男女問わず性器淋菌感染者の約30%に、咽頭からも淋菌の検出が見られる。また、男性では性器の淋菌陽性率が咽頭よりも高いのに対して、女性では咽頭の淋菌陽性率が性器より高いという。
その理由は判然としないが、クンニリングスよりもフェラチオの方が、男性器の形の特徴から尿道分泌物が女性の咽頭に直接到達しやすいからだと考えられている。
性器と咽頭の同時感染では、治療で性器の淋菌が消失しても、咽頭淋菌が残存する場合もある。
「咽頭淋菌の治癒率が低いのは、淋菌が咽頭の上皮組織ではなく、粘膜層に存在するからです。投与された薬剤濃度の上昇が少なく、抗菌効果が得られないためと思われます。感染機会がなく再発した場合は、咽頭感染も疑う必要があります」
淋菌、恐るべし。