バリアフリーにすると変化についていけない当事者もいる
この連載で紹介した「DAYS BLG!」も典型的な非バリアフリーだ。それでも、これまでつまずいて倒れた利用者はいない。
認知症の症状が進むと、視空間認識に障害が出てくる方がいる。すると床板の継ぎ目の黒い線が段差に見えたり、黒い板があると、そこが浮き上がって見えたりもする。
普段から段差がある生活をしていると、うまく体を動かしてまたぐこともできるのだが、家の中に段差がない生活をしていると、急に段差が現れたらバランスを崩して転んでしまうのである。
「段差は危ないからバリアフリーにするというのは、家族の考えなんです」
「BLG」運営者の前田隆行さんは言う。
「今まで畳で寝起きしていた人が介護用ベッドを入れると、逆に転んでしまうことがあります」
将来を考える家族の気持ちも分からなくはないが、認知症はその人によって表れる症状はさまざまだ。先手を打ってリフォームすると、ついていけなくなることもある。リフォームしていいのは①の場合だろう。