“的中率”は90%超 がん血液検査の読み方と過剰診断リスク
例えば、乳がんは5つのマイクロRNAを組み合わせて調べたところ、感度は97%でした。感度は、Aと診断して実際にAだった人の割合。97%ということは、乳がんと診断した100人のうち、3人がハズレたということです。
ほかのがんの感度はというと、卵巣がん99%、膵臓がん98%、大腸がん99%、膀胱がん97%、前立腺がん96%と軒並み好結果です。
しかし、問題がないわけではありません。過剰診断です。例えば、女性に多い甲状腺がんと男性の前立腺がんは、命に影響を及ぼさないタイプもあります。そういうがんを掘り起こして、「がんです」と突きつけられると、手術が不要なのに手術される患者が出てきます。韓国では、甲状腺がん検診が行われたことで、過剰診療が社会問題になりました。つまり、がんの血液検査を受けた人は、検査結果との向き合い方、読み解き方がとても重要なのです。
では、どう読むか。まず甲状腺と前立腺は、血液検査を受けない方がいい。過剰診療の可能性が捨てきれません。
そのほかでいうと、膵臓がんと胆道がんは発見しにくい上、有効な検診法が定まっていないので、血液検査が有望でしょう。高リスク判定なら、超音波検査などの精密検査を受けるといい。肺で高リスクならCT、食道なら内視鏡といった具合です。
血液検査の結果で、すぐに治療ということではなく、精密検査を受ける前の前段階という位置づけでいいでしょう。1回の血液検査がセーフだから、その後はノーチェックというのも考えもの。血液検査がどんなに効果的であっても、定期的ながん検診を受けることが重要なのは、今後も変わりません。