著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

カロリーはほとんどないのに人工甘味料で動脈硬化が進む?

公開日: 更新日:

「砂糖やブドウ糖などの糖分を多く含むソフトドリンクが健康に悪い」という話は皆さんも最近お聞きになることが多いと思います。イギリスでは砂糖を減らすために、「砂糖税」という税金まで導入されています。

 糖分を多く含むソフトドリンクは、飲んだ後で血糖値が上昇しやすく、カロリーの摂取量も増えるので、肥満糖尿病の原因となります。それで、最近では甘いけれどもカロリーがほとんどない「人工甘味料」を砂糖の代わりに含むソフトドリンクが、多く流通しています。

 それでは、人工甘味料を含むソフトドリンクには、健康への悪影響はないのでしょうか? その点はまだはっきりと分かっていません。カロリーがないので血糖や体重への影響はないはずですが、体は甘いという認識をしてインスリンが出るので、それが食欲を増して結果として肥満の原因になる、というような意見もあります。

 今年の米国医師会の内科専門誌に、ヨーロッパ全土で4万5000人以上の住民を、16年以上という長期間調査した研究結果が報告されています。それによると、砂糖を含むソフトドリンクも人工甘味料を含む飲み物も、どちらも死亡リスクを増加させていましたが、その危険性はむしろ人工甘味料の方が大きく、特に動脈硬化による血管の病気による死亡のリスクは、人工甘味料で52%も増加していました。

 人工甘味料の方が安全、と考えるのは危険かも知れません。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    僕の理想の指導者は岡田彰布さん…「野村監督になんと言われようと絶対に一軍に上げたる!」

  2. 2

    小泉進次郎氏「コメ大臣」就任で露呈…妻・滝川クリステルの致命的な“同性ウケ”の悪さ

  3. 3

    綱とり大の里の変貌ぶりに周囲もビックリ!歴代最速、所要13場所での横綱昇進が見えてきた

  4. 4

    永野芽郁は映画「かくかくしかじか」に続きNHK大河「豊臣兄弟!」に強行出演へ

  5. 5

    永野芽郁“”化けの皮”が剝がれたともっぱらも「業界での評価は下がっていない」とされる理由

  1. 6

    元横綱白鵬「相撲協会退職報道」で露呈したスカスカの人望…現状は《同じ一門からもかばう声なし》

  2. 7

    関西の無名大学が快進撃! 10年で「定員390人→1400人超」と規模拡大のワケ

  3. 8

    相撲は横綱だけにあらず…次期大関はアラサー三役陣「霧・栄・若」か、若手有望株「青・桜」か?

  4. 9

    「進次郎構文」コメ担当大臣就任で早くも炸裂…農水省職員「君は改革派? 保守派?」と聞かれ困惑

  5. 10

    “虫の王国”夢洲の生態系を大阪万博が破壊した…蚊に似たユスリカ大量発生の理由