大腸がん<7>薬物療法の延命効果「生存期間中央値」は?
これは治療開始から患者が半数に減るまでの期間のこと、つまり「患者の半減期」です。最近は医者に余命を尋ねても「生存曲線」と呼ばれるグラフを見せられ、MSTは何カ月と説明されるようになってきました。個々の患者の寿命は、医者でも分かりかねるということでしょう。
2000年に発表された研究によると、治療を行わない場合のMSTは約8カ月でした。
しかし、14年から16年に発表された研究において、抗がん剤治療を行った場合のMSTが約20カ月であることが明らかになりました。差し引き12カ月分の延長です。現在はさらに延びて、15~18カ月といわれています。
あくまでも中央値ですから、患者の半数はそれよりも先に亡くなってしまいますし、なかにはすぐに亡くなってしまう人もいます。しかし逆に、中央値より長く生きられる人が半数いるのです。そのなかには手術可能になって、全快する人もいるでしょう。希望は常にあるわけです。