著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

子供の頃から海苔を食べ続けていると高血圧になりにくい?

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 高血圧の発症は遺伝的な要因のほか、食習慣などがその危険因子と考えられています。幼少期の生活習慣は、その後の健康状態に影響を与える可能性がありますが、子供のころからバランスの良い食事をすることで、将来の健康リスクを減らすことができるのでしょうか。

 小児を対象に海藻類の摂取と血圧の関連を検討した研究論文が、日本疫学会誌の電子版に2020年3月21日付で掲載されました。海藻類は過去の研究において、血圧を低下させる可能性が示されていました。

 この研究では愛知県の幼稚園に通う4~5歳の小児89人が対象となっています。被験者は、標準的な食事に加え、焼き海苔を1日1・76グラム(1パック)食べてもらうグループと、標準的な食事のみを食べてもらうグループにランダムに振り分けられ、研究開始から10週間後の血圧変化が比較されました。

 最終的に81人の被験者を男女別に解析した結果、収縮期血圧(上の血圧)の変化は、焼き海苔を食べていた男児で8・29㎜Hg低下した一方、標準的な食事のみの男児では0・50㎜Hg増加していました。拡張期血圧(下の血圧)も同様に、焼き海苔を食べていた男児で6・77㎜Hg低下していましたが、標準的な食事のみの男児では0・05㎜Hgの低下にとどまりました。なお、女児ではグループ間で血圧変化に明確な差を認めませんでした。

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