英首相はICUへ…新型コロナ肺炎はなぜ急激に悪化するのか
「このように、病原体の侵入や薬の投与などが引き金となって、サイトカインが過剰に産生されて起きる異常事態をサイトカインストームと呼びます」
サイトカインとは細胞から分泌されるタンパク質のこと。目標とする細胞にシグナルを伝達し、細胞の増殖、分化、細胞死、機能発現など多様な細胞応答を引き起こす。その中でさまざまな炎症症状を引き起こすのが炎症性サイトカインだ。
「炎症性サイトカインにはIL―1、IL―6、TNF―αなどさまざまな種類があります。本来は病原体を攻撃するなどして身を守る働きがあるのですが、血液中にこれらの炎症性サイトカインが大量に放出されると、その作用が全身に及び、血液凝固や血圧の上昇などが起きます。最後には多機能不全に至り、ひどい場合には致死的な状態にまで陥るのです」
■サイトカインストームとは?
免疫には、生まれたときから持つ「自然免疫」と、生後に病原菌にさらされて得られる「獲得免疫」がある。自然免疫は体に入ってきた病原体すべてに反応し、排除しようとする。つまり未知のウイルスである新型コロナに対しても自然免疫は働くのだ。ところがそのウイルスが自然免疫組織のどの部分を刺激するかによって、さまざまなサイトカインが分泌され、場合によってはサイトカインストームを引き起こすと考えられる。